巻頭
科学の"扉と泉"
杉 靖三郎
pp.49
発行日 1954年10月15日
Published Date 1954/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905793
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"二十の扉","話の泉"などという,NHKの人気番組がある。もう7〜8年も前から毎週おこなわれ,いまだにつずけられているのだから,どこか人の本性にアッピールするところがあるのだろう。
ところで,学者先生にきいてみると,どうもくだらん。まつたくナンセンスだといつたぐあいで,あまり人気はないどころか,愚劣なもののサンプルにさえなつているようだ。そして学者先生といわれるような人がゲストで出ると,あまり答えられない。そして多くは,"あんなこま切れの知識をとりあげるやりかたは実にくだらん"などと,まけおしみをいう人もあるそうだ。実際,問いや答のなかには,專門家から見ればどうかと思われるものもあり,見当はずれのものもたしかにある。(あれは知識やカンのスポーツだから,それもナンセンスではないのだが)しかし,時々聞くのだが,私は,いつも面白い,これはわたしの兄が,その番組の一つのレギュラーであり,私自身も何度かゲストにでて,あの人たちを知つている,というためでもあろうが,そればかりではないのである。
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