論述
筋原線維の性質とその短縮過程
名取 禮二
1
1慈恵醫大生理學教室
pp.209-212
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905645
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Ⅰ.
この數年の間,筋生理學の領域ではSzent Györgyi一派が行つたactomyosinとadenosine triphosphate(ATP)の研究が大きな刺戟になり若い研究者の次々の發表と共に,A. V. Hillをはじめ諸大家が,嘗つての自己業績をかえりみつゝ再びすばらしい勢で研究を行つているのは,何といつても目覺しいことであろう。Szent Györgyiのactin,myosin及びATPによる牧縮弛緩の機轉の想定は1),抽出した蛋白質の短縮縮過程が,生筋線維のそれとは異なるため,たとえglycerol筋による研究を一つのより所としたとしても3),發熱その他の點で一見超え難い問題を與えていた。それで一方では大きな衝動を學界にあたえると共に,他方それが靜まつて各面より検討が進められるにつれて,段々難點も指摘されてきた3)。そして,actinとmyosinとATPに關する實驗結果そのものは,ゆるぎないものであつても,それからする短縮機轉の解釋は,少しづゝ變えられているのが現況であろう。
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