論述
生體内に於ける酸素の測定
望月 政司
1
1北海道大學應用電氣研究所
pp.212-218
発行日 1952年4月15日
Published Date 1952/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905646
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緒言
生物學に於ける酸素代謝の研究の重要性は今茲に特筆する迄もないことであるが,酸素濃度の測定法として從來主として用いられているWarburgの方法の樣なmanometricな方法或いは,volumetricな方法は操作が困難である許りでなく,in vivoの測定は不可能である。從つて生體内の限られた局所の酸素の濃度變化を追求したり亦O2—濃度の藥物に依る影響を研究する爲には更に簡便に測定出來,然も再現性のある方法が取り入れられねばならない。
Vitek(1935)1)は溶液中に溶けている酸素を水銀滴下陰極を用いて定量することの可能なことを初めて報告し,續いて此の應用としてKarsten2)は土壌内のO2—濃度の定量をPetering及びDaniels3)はgreen alge(緑藻)の酸素代謝の測定を亦高瀬,望月15)は大腸菌の酸素消費の測定を行つている。然し滴下水銀を用いる此の方法は,水銀の毒性とその流動性と相待つて,生理學的測定法としての要求には縁の遠いものである。
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