特集 土
土の性質
黒部 隆
1
1東東農工大学
pp.64-67
発行日 1958年3月15日
Published Date 1958/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910568
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1.土はどうしてできたか
林の中へ入つて,足もとの何年となく積みかさなつた落葉をかきのけてゆくと,腐葉層の下はまつ黒い土に移り変つている。その手ざわりの軟かな黒い土を更にほつてゆくと,次第に黒色から褐色に移り変り,やゝかたくしまつてくる。更に続けてほつてゆくと褐色から黄色になり,礫が増して間もなくかたい母岩に達する。この様子は山道や台地の切割りなどではつきりと見られるが,土はこのようなかたい岩石が崩壊分解してできた物質が基本をなしている。
一見かたく見える岩石も露出していると,温度の変化,乾湿の差,結氷による圧力,風雨による破壊,生物の作用などによつていわゆる風化作用をうけてバラバラになつてしまう。又岩石がこのように機械的の崩壊作用をうけ始めると,これに伴つて化学的の変化も行われる。これは主に水の作用であるが,天然の水は炭酸ガスに富み,場合によつては亜硝酸塩,硝酸塩,硫酸塩などをも溶かしていて,著しい分解作用を起すようになる。
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