論述
ビタミンB2の化學的定量について(Ⅱ)—ビタミンB2各型の分劃定量法
八木 國夫
1
1名古屋大學醫學部生化學教室
pp.17-24
発行日 1951年8月15日
Published Date 1951/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905597
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1.はしがき
既に本誌上においてビタミンB2以下B2と略)總量の測定法,特にルミフラビン螢光法の簡易な實施法について述べた。その方式によれば検體に含まれる微量のB2を比較的簡易に且つ正確に測定する事が出來るが,B2のエステル型であるFlavin mononucleotide(以下FMNと略)及びFlavin adenine dinucleotide(以下FADと略)も遊離型B2と同樣ルミフラビンを生ずるので得られた値はB2の總量を示すものにすぎない。生體に於て酵素學的意義をもつのはFMN及びFADであつて,FMNは舊黄色酵素などの,FADはD-アミノ酸酸化酵素,キサンチン酸化酵素,ディアホラーゼなどの重要な酸化酵素の補缺分子簇として知られているが,一方遊離型B2もそれらの前階級としてのみならず光化學反應に意義のあるものとして追求されている。從つて生化學的研究においてこれら3者の量を分劃して同時に測定することが屡々必要となる。
1934年Euler, Adler1)は検體を0℃においてコロヂウム膜にて透折すると遊離型B2は透折され内液に蛋白質と結合したB2が残り遊離結合両型を定量出來ると述べ,魚類の網膜B2が全く遊離型のみであると報告した。その後Emmerie2)は遊離型B2がベンチルアルコールに溶解するのにエステル型は不溶であるから両者を分劃定量しうると報告した。
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