展望
興奮、傳播、並びに傳逹
小西 喜久治
1
1東京醫科齒科大學生理學教室
pp.148-152
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905562
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電氣刺戟による興奮
Arvanitaki(6)が記述した陽極に於る活動現象を除いては,本問題に就ての新らしい見解は今の所發表されていない。Katz(78),Schaefer(128)の古いモノグラフには興奮過程に關していろいろの理論が採り上げられており,之を實驗的に檢證する爲に種々な形の電氣刺戟が用いられたけれども,未だ判つきりと成功しているものはない。線形上昇電流では動物(138)でも人(87)でも,知覺神經は運動神經程に順應しない。人の神經に局所貧血を起させると順應が増大するが,此の局所貧血操作を解除したあとの可なりの期間は,事實上の順應消失が見られる。線形上昇電流は人の運動單位(motor units)を選擇的に刺戟するのに用いられ成功している(88,89)。神經を直接に刺戟した場合と隨意運動による場合とで電氣的活動を比較した成績から,いくつかの興味ある事實が明かにされた。作働の順序は兩者で同じであること,最初に興奮するものは小電位を出す單位であること,反復活動の頻度も兩者で略々同じであることなどである。
筋端板に特有な興奮曲線を見出さうとして行われた實驗(84)があるが,單一神經筋線維標品では見出し得なかつた。然し此の實驗でKufflerはCurarineの麻痺量以上を用いても筋線維の興奮曲線に影響しない,と云う既知の知見(64)を確かめている。
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