實驗室より
副腎皮質材能檢査法(Thorn's Test)
田多井 吉之介
1
,
森 悠子
1
1國立公衆衛生院生理衛生学部
pp.89-90
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905546
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意義:副腎皮質ホルモンが凡ゆるストレスにたいする生体の防禦材能に大きな役割りを演ずることは古くから分つていたが,その最新の知見についてはすでに綜説した1).この線に沿いThorn等2)が循環好酸性白血球数の変動を指標にした副腎皮質材能檢査法を発表してから,同方法が弘く臨床へも應用されるようになつた.たとえばRoche,Thorn等3)の最近の報告をはじめ,Davis等4)は外科的手術(帝王切開)の患者10例の好酸球変動を逐日的にしらべ,その経過が恢復状態に一致していること.かつ好酸球数が手術により減少しなかつた1例が死亡し剖見の結果副腎皮質機能不全が証明されたと報告しているしGabrilove5)も軽い婦人科手術後の好酸球が著しい減少をしめし,のち漸次恢復し手術前の値よりも上昇することをみたが,化膿症を併発した1例は2週後にいたるも手術前の値に達していないと述べている.さらにPerrault等6)は,腸チフスなどの傳染病患者において,経驗による症状からの予後判定よりも好酸球数の増減よりの判定がさらに正確であつた事実を報告している.
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