研究報告
ツベルクリン過敏症に於ける豚の特異プリン體代謝樣式に就いて
大野 乾
1
,
諸林 武俊
1
,
和田 卓
2
1東京農工大学獸医学科解剖学諸林研究室
2東京農工大学獸医学科解剖学衛生学研究室
pp.83-85
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905544
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豚が非常に特殊なプリン体代謝を行つている事実に就いては,本誌第1卷3号に報告させて頂いたが,其の後豚血清中の核蛋白の由來に就いて,又何故グアニンやサンチンというこの分解プリン体が,其の儘体液中を巡り,尿中に排泄されるかに就いて研究を続け,第2の点に関しては一應の解決を得る事が出來たので,此処に第2報として報告させて頂きたいと思う.私は最初核蛋白(デゾキシリボ核蛋白),ニユークレオタイド・グアニン・キサンチンをデゾキシリボ核蛋白の代謝に関係する一連の代謝過程産物であると誤解していたが,其の後,豚血清中に核蛋白が常在するという事と,多量のニユークレオタイド・グアニン・キサンチンが血清中に含有されているという事実とは,2つの全く別な豚属の特徴である事を知つた.1897年にE. Fischer1)は各種プリン体を人工合成したが,その中でグアニンに性質酷似せるその異性体2-アミノ-6歳キシプリンを得て,アデニンの部分的分解産物であると考えられる此の者の生物界に於ける存在を予言した.事実Buell,Perkins2)は1927年に豚血清より之を單離して,オキシアデニンと命名したのである.この重要な事実はその後顧みる人なしに葬られていたが,私共は氏等の業蹟を追試確認し,更に豚血清中にはアデノーシン3燐酸の代りにオキシアデノーシン3燐酸が存在するという興味ある事実を明らかにする事が出來た.
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