實驗室より
臓器内容積變化の測定の1考案
油井 亨
1
,
熊谷 洋
1
1東京大学医学部藥理学教室
pp.46-47
発行日 1950年8月15日
Published Date 1950/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905534
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我々は無麻醉犬子宮運動の長年に亘る研究に於て子宮運動の機械的描記法としてAzuma-Dale法,即ち水を満したゴム嚢(Balloon)を子宮腔内に挿入し,之を水圧計に導き,更に室氣傳導を介してBrodieのフイゴ型タンブール(Brodie's bellows)に連結して子宮内圧乃至内容積変化を描記させる方法を採用して來た.けれどもこの方法には次の欠点があつた.
(1)空氣傳導を用いるため室温の動揺によつて空氣傳導系殊にBrodie's bellows内の容積変化が著しいために,煤紙上に描記された基線が子宮トーヌスを正しく表現しない.(2)Brodie's bellowsの動きがその容積変化に対して必ずしも比例的な関係を示さない.(3)又破損し易く,往々にして空氣の漏れに氣付かず,曲線の判定を誤る事がある.よつて空氣傳導法を用いずに子宮運動によつて起る水柱水準面の動きを直接煤紙上に描記させる新しい方法を案出した.本法の原理は至つて簡單で,水柱水準面の動きをそのまま浮きに直結する書槓によつて煤紙上に描記するものである.水銀マノメーターに於ては水銀の比重が高いために"浮き"の問題は簡單であるが,水マノメーターの場合は仲々簡單には行かない.木,パラフイン,コルク等を浮きとして試みて見たが,水中に深く沈んでしまうか,又はガラス管の途中に引掛つて正しく水準面に落付いている事がない.
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