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研究報告
波型曲線研究の一考察(第1報)
Reflection upon studies of wave-like curves
齋藤 金之助
1
1東京都交通局病院
pp.251-252
発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905503
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1.緒言
醫學的諸研究の中で,波型曲線を取扱つている部門は,相當に多い。併し其の方法は,主として波型そのまゝで論じているものが,大多數である。例えば腦波曲線にしても,心電圖にしても週期と最大,最小振幅位を記載しているのみで,原版が無ければ一般研究者には全く研究の餘地がない。波型の僅小な變化に就ては主觀例であつて普遍性がない。余はこの點につき以前より打解の方法を考察していたが,最近稍々目途が得られたので,一般序論的に御紹介する。音響學,交流,歪形波を扱う電氣理論,地震學及び車體等の振動を扱う理論を研究してみると,いづれも"フーリエ"級數を用いている。これは理論研究上便利であり,曲線の小さな變化をも圖上に再現し得るからである。基本波と各種の高週波に分けて考え得るのも,其の一つの特徴である。中村氏によれば,元づ週期の最も著しくて一番永い週期を持つた振動を見附け出す。これが見附つたならば後は全く人爲的に勝手な週期の振動を假定するのである。即ち基本の振動の1/2,1/3,1/4,1/5と必要に應じていくらでも短いものを考えて組合せてみる。この方法がフーリエ展開である。但しフーリエ展開は本當にその様な週期の振動が考えられる場合,例えば琴やヴァイオリンの弦と人間の言葉の"ア"とか"カ"とか言う様なものについては,本當かどうかは分らないが,一番簡單で振幅の計算も全く器械的にやれるので愛用されると。
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