展望
筋攣縮に於ける活動熱と短縮熱1)
A. V. Hill
,
眞島 英信
pp.190-197
発行日 1950年1月15日
Published Date 1950/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905487
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筋が短縮する際の熱發生に關するこの前の實驗(Hill 1938)は強直の場合について行われた。その時は單一攣縮の場合を扱える程装置の方が鋭敏でなかつたが,最近充分な感度の檢流計が得られた。これはフレの時間の遲れが2msecしかない。熱電堆は前のと同じものを用いた。檢流計のフレが速いので得られた記録は補正を要せず直ちに熱發生の性質が解る。更に精密な量的研究には熱の流出や損失を除外するための補正が尚必要である。
單一攣縮は最も要素的な筋活動の單位であるから,このときの短縮熱が強直のときのそれと同様な量的關係にあるのか,又負荷のあるとき機械的仕事は單なる‘extra’であるのかという様なことは知りたいことである。單一攣縮を扱う事が困難なのは,輕い負荷の場合でも短縮が充分終らぬうちに弛緩が始まつてしまうからである。等尺性攣縮の場合なら張力發生が最大にならぬうちに弛緩が始まつてしまうからである。從つて實験は本質的に動的なもので弛緩が始まる迄の短い間に行われなければならない。だから本實験によつて前の強直の實験で得られた結果よりも筋の研究上一層有益なしかも驚くべき簡單な關係が見出されたことは満足すべきことなのである。
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