研究報告
親媒現象から見た動物膜の透過
山本 淸
1
1東京慈恵會醫科大學生理學教室・浦本研究所
pp.164-166
発行日 1949年10月15日
Published Date 1949/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905479
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1.
Freundlichは,水溶液に關して,Van't Hoffの理論に從う現象を滲透壓現象osmotic phenomena,親媒順列又はHofmeister順列の關與する現象を親媒現象liotropic phenomenaと呼んで區別した1)親媒順列は,colloid系の解膠,凝固,鹽析,吸着,膨潤等諸種の物理化學的性質に關する,ionの特性の差に基く順列であつて,2)その順列は水分子,ion,colloidの相互の吸着の差から説明されるような現象である。
とにかく,水溶液中に於て,ionは滲透壓的に作用すると同時に,親媒的効果を示すものであるから,動物膜の水透過を問題にする際にも溶液のこれら2方面の性質が考慮されねばならぬ。動物膜を構成する主體はcolloidであり,そのcolloid膜を通して水が透過する場合,水分子及びionが膜物質に吸着することによつて水の透過が影響されることは充分豫期されるのである。
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