巻頭
形態學の進むみち
小川 鼎三
1
1東大・醫學部解剖學教室
pp.1
発行日 1949年3月25日
Published Date 1949/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905431
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微に入り細をうがつ解剖學は日本人にはかなり得意な方面であるかも知れない.生れついた性質が幾分それに適しているらしいということの他に,明治以來範としていたドイツ流の解剖學がやはりその傾向であつたといえるのである,骨の計測など,わが國では非常に詳しく行はれて,同様に詳しい外國の研究が現われるまでは比較ができないという有樣である.
形態という立場から生物體を研究するものは,その觀察が飽くまで精細につき進まなければならないと同時に,よく全體を見通すことの重要なことはあらためて強調するまでもない.個々の事實が個體の生活にとり,或いは生命現象の調和にとつて如何なる聯關を有するかが常に留意されなければならない.
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