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特集 研究室で役に立つ新しい試薬
セカンドメッセンジャー関連試薬
GTP結合蛋白関連試薬
ジフテリア毒素
Diphtheria toxin
木戸 充
1
,
内田 驍
1
Mitsuru Kido
1
,
Tsuyoshi Uchida
1
1大阪大学細胞工学センター
pp.468
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905357
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■構造および特性
ジフテリア毒素は,分子量約60Kの単純タンパク質で,Corynebacterium diphteriaeに毒素遺伝子(tox)を持つβファージが感染または溶原化したとき,菌体外に分泌される。タンパク質合成伸長因子(EF-2)を,ADP-リボシル化して失活させる酵素活性を持ち,感受性動物および由来の細胞を死に至らしめる1,2)。毒素タンパク質の構造は機能分担されている(図1)。還元剤の存在下,トリプシンで温和に処理すると,フラグメントA(分子量約20K)とフラグメントB(分子量約40K)に分離する。フラグメントAはADPリボシル化活性を持ち,フラグメントBは感受性細胞表面のリセプターに結合し,フラグメントAを細胞内に送り込む活性をもっている。フラグメントAのみを産生する変異株も樹立されている。フラグメントAの活性は,真核細胞のEF-2に特異的で,植物,動物,酵母に至るまで働くが,原核細胞性のバクテリアおよびミトコンドリアのEF-Gには働かない。一方,毒性は,細胞膜上のリセプターの有無によって左右されるので,働く範囲が狭まり,ヒト,サル,ハムスター,モルモット,ニワトリ由来の細胞は感受性だが,マウスとラット由来の細胞は非感受性である。マウス,ラット由来の細胞には,PseudomonasのエクソトキシンAが効く。
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