今月の臨床 Preterm PROM—34週までの問題点
胎内治療
13.持続的腟内洗浄法と子宮内灌流
中林 正雄
1
Masao Nakabayashi
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.168-170
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900302
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妊娠中期PROMの管理上の問題点は,妊娠継続に伴い進行する感染や,羊水減少により早期に分娩へ到り,さらにその児が感染,未熟性のために予後不良となる点にある。すなわち,上行感染により進行する子宮内感染からプロスタグランディン等の炎症反応物質が産生され,子宮収縮が引きおこされる。また羊膜では炎症によりその機能の一つである羊水産生の低下がおこる。これは破水による羊水の減少と相まって羊水過少の傾向をさらに進行させ,子宮内感染とともに胎児の胎内環境を悪化させる。羊水過少により臍帯圧迫なども起こりやすくなり,胎児の呼吸運動制限から肺低形成に到る場合もある。また最近の知見として,妊娠中期PROMの場合,その発症の原因として絨毛羊膜炎(Chorioamnionitis)が先行している場合が少なからず存在することが知られるようになり1),これが妊娠中期PROMの管理をさらに困難にしていると考えられる。
このように妊娠中期PROMは多くの問題点を含む病態を呈するが,児未熟性をある程度クリアーするまで,少なくとも児肺成熟を待ち,母児ともに良好な状態で分娩に到らしめるためには,この感染のコントロールが最大のポイントであろう。当センターでは,感染コントロールのために局所治療に重点をおき管理を進めており,本稿ではこれらを中心に当センターにおける妊娠中期PROMの管理について述べる。
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