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特集 神経科学実験マニュアル
ニューロンの染色・標識法
放射性アミノ酸によるニューロン標識法
Neuronal labeling with radioactive amino acid
肥後 成美
1
,
川村 祥介
1
Shigeyoshi Higo
1
,
Syosuke Kawamura
1
1熊本大学医学部解剖学教室
pp.363-365
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904766
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■ 概要
脳の働きを知るためには,まずそれを構成しているニューロンやニューロン群(神経核)が脳内においてどのように配列され,またそれぞれがどのようにつながっているかを知ることが必要である。このことを知る手段の一つとして,形態学的に脳切片に種々の染色を行ってニューロン特有の構造物である神経突起の追求が行われている。それらの方法は多岐にわたっているが,神経解剖学の分野では過去数十年,正常な組織をそのまま染色し観察するGolgi,Weigert,Cajal法などから変性した髄鞘を染め出すMarchi法,さらに変性軸索やその終末を染め出すNauta,Fink-Heimer法などが使用されてきた。これらの方法によって多くの重要な知見がもたらされてきたが,近年はとくに軸索流に特定の物質を乗せこれをマーカーとしたり,免疫学的特異性を指標にすることによって脳内のニューロン群の結合を明らかにする方法が発達し,脳内構造の解明が進んでいる。ここでは脳内の一定の部位に放射能活性をもつアミノ酸を注入しその部のニューロンから取り込まれ,蛋白合成された後軸索流に乗って運ばれる物質をオートラジオグラフによって検出する方法の手技と問題点に関して記載する。さらに1980年代に新たに神経解剖学領域におけるマーカーとして有用視されているレクチンの一つであるWheat Germ Agglutinin(WGA)の特性と放射性ヨードとの標識に関しても付記する。
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