Japanese
English
特集 細胞の極性
初期発生における胚軸の決定
Establishment of embryonic axes
米田 満樹
1
,
小南 哲也
1
,
久保田 洋
1
Mitsuki Yoneda
1
,
Tetsuya Kominami
1
,
Hiroshi Y. Kubota
1
1京都大学理学部動物学教室
pp.166-172
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904519
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左右相称の形態をもつ動物の胚では,前後及び背腹という2つの軸がある。たいていの海産動物の卵がそうであるように,はじめは球形で見かけ上均一な卵細胞の中に,たとえ眼には見えなくてもそのような将来の胚軸がすでに定まっているのか,もしそうでないなら,発生過程のどこで,どのようにして決まるかが,動物胚の軸性決定に関する古典的問題である。
実験的に解析しようとするときに困ることが1つある。それはいわゆる「調節」という現象である。例えば,卵または初期胚を両断して2つの部分に分け,それぞれを発生させた場合に,両者の間に差が生じたとすれば,まさしくその分割の時点で胚軸がすでに定まっていることを示すであろう。しかし両者ともに正常な胚にまで発生した場合,それは必ずしも,正常発生のその時点での軸性(または局部的な違い)の存在を否定するものではない。部分の欠失に対する「調節」がおこっているかも知れないからである。
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