Japanese
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特集 核内蛋白質
核マトリックスのタンパク質—MAP様タンパク質を中心にして
Nuclear matrix proteins : MAP like proteins
中安 博司
1
,
上田 潔
1
Hiroshi Nakayasu
1
,
Kiyoshi Ueda
1
1滋賀医科大学生化学第二講座
pp.533-538
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905383
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I.核の構造タンパク質と核マトリックス
核タンパク質という言葉からは,多種多様なタンパク質の混合物というイメージが想い浮かぶ,実際,核タンパク質の約三分の一を占めるヒストンを除いては,どの成分をとっても比較的微量成分であるうえに,その種類はきわめて多い。このような複雑な対象を取り扱う時にはもちろん,何かのおおまかな分類の基準が必要になってくる。核マトリックスはこのような分類に都合のいいものであって,たとえは,銅イオンや四チオン酸などの安定化剤の存在下で核マトリックスを調製した時には,核タンパク質の約三分の一がこの画分に回収される。これは,ヒストンの全量に相当するわけで,この画分に回収されない可溶性の非ヒストンタンパク質群とともに核タンパク質を人ざっぱに三分割できる(安定化剤なしでは,核マトリックスの内部構造が部分的にこわれるために収量は全核タンパク質の10%位になる)。
単離核をDNase処理した後,0.5Mあるいはそれ以上の塩を含むバッファーでクロマチンを抽出して核マトリックスを単離することができる1)。こうして得られたものは,もともとの核とほぼおなじ形態を保っていて,核膜の裏打ち層であるラミナと核小体の残渣,ならびに核質の部分にあたる部位をうずめている無数の線維系の三成分からなっている。
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