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論壇
脊椎動物網膜論:第3,4部
A view on the vertebrate retina
中 研一
1
Ken-Ichi Naka
1
1基礎生物学研究所
pp.51-61
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903443
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第3部 電流注入実験
1.網膜細胞内の連絡
網膜のように複雑な神経回路網での信号の流れ──すなわち,そこでの感覚情報処理様式──を解明するのに最も有力な手法はその回路網のある1点に信号を注入し,もう1つの点からそれによる反応を記録することである。これは電子回路の解析には常に用いられている方法である。しかし脊椎動物網膜の回路網解析にはなぜかこの方法はあまり用いられずなまず網膜以外では数編の報文があるにすぎない2,17,37),しかし,各種の細胞間の信号伝導様式の知識なしには,脊椎動物網膜内の神経回路の構成模式はいつまでも推測の域を出ず,知識とはならない。この伝導様式の決定には電流注入が最も有力な方法である。もちろん電流注入法も万能でなく,他のあらゆる方法と同じく,利点もあり欠点もある。後者の1つは電流注入は点に限られ,網膜にとっては非常に不自然な刺激である。
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