話題
日米セミナー「ミオシンの構造と機能」に出席して
丸山 工作
1
Koscak Maruyama
1
1千葉大学理学部生物学教室
pp.554-558
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903434
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筋肉の収縮蛋白質のミオシンは,きわめてユニークな蛋白質である。ATPを分解する酵素作用をもっているが,それはみかけ上であって,ATPの高エネルギーリン酸結合を切断するさいに放出されるエネルギーを運動のエネルギーに変換する。また多数の分子が自動集合してフィラメントをつくりあげる構造蛋白質でもある。
ミオシンは,厳密な意味では,単一の蛋白質ではない。分子量約20万のH鎖2本から成る主成分と,4分子の小蛋白質L鎖(g鎖ともよばれる)とからできあがった複合蛋白質である。脊椎動物の骨格筋のミオシンのL鎖には3種類あり,L2鎖2本はすべてのミオシン分子に共通しており,L1 2本,L3 2本,L1,L3各1本の3種類の分子種がある。ミオシンは分子の長さが150nmという細長い分子で,2つの頭があり,ATPアーゼ作用はこの頭部にある。アクチンと反応するのも頭部である。尾部は,フィラメント形成に関与する。
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