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特集 カルシウムイオン受容タンパク
総説
フラグミン—Ca2+感受性をもつアクチン線維形成の調節因子
Fragmin: ACa2+-sensitive regulatory factor on the formation of actin filaments
長谷川 孝幸
1
,
秦野 節司
2
Takayuki Hasegawa
1
,
Sadashi Hatano
2
1国立武蔵療養所神経センター
2名古屋大学理学部分子生物学研究施設
pp.389-394
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903412
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非筋細胞にもアクチンが含まれており,共存するミオシンと共にアメーバ運動,原形質流動などの細胞運動を担っていると考えられるが,その存在様式は骨格筋の場合と著しく異なっている。非筋細胞ではアクチン線維は多くの場合束状の構造(粘菌の複屈折性線維や培養細胞のストレスファイバー等)を形成しているが,これらの構造が長期間安定な状態で存在することは稀で,むしろ形成と消滅がくり返されている場合の方が多い。また非筋細胞には立派なアクチン線維以外に,低重合状態のアクチンが多量に存在していることが知られている1〜3)。低重合状態のアクチンはほとんどの場合精製すると立派に重合するようになる4,5)。このことは非筋細胞中にアクチン線維形成の調節因子が存在することを示唆している。ここに紹介するフラグミンはアクチン線維形成を調節する働きをもち,かつその働きがCa2+によって調節されるたん白質である6)。
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