総説 東京都神経科学総合研究所シンポジウム(1976年7月30日)
Part 1 中枢神経系の伝達物質
高垣 玄吉郎
,
山本 長三郎
1
,
岡田 安弘
2
,
小西 史朗
3
,
清水 宏俊
4
Chozaburo Yamamoto
1
,
Yasuhiro Okada
2
,
Shiro Konishi
3
,
Hirotoshi Shimizu
4
1金沢大学医学部生理学
2東京都神経科学総合研究所神経生化学
3東京医科歯科大学医学部薬理学教室
4日本ロシユ研究所生化学部
1Department of Physiology, University of Kanazawa Medical School
2Department of Neurochemistry, Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
3Department of Pharmacology, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine
4Nippon Roch Research Center, Department of Biochemistry
pp.135-159
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204017
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序言
神経インパルスの「化学伝達」説は今世紀の生物学の最大の発見の1つであるといわれる。化学伝達は自律神経節や神経筋接合部,即ち末梢神経のシナプスでまず確立されたのであるが,脳や脊髄でも原理的に同じ機構でシナプス伝達が行われると信じられるに至つた。ところが,中枢神経系では何が伝達物質であるのかという素朴な質問にも,我々は満足な解答ができない。中枢神経系の複雑な構造が,末梢のシナプスで成功したような実験的アプローチを拒んでいるのである。中枢神経では別のstrategyが必要となる。
以下の4編の論文は,上記の標題のもとに,東京都神経科学総合研究所(昭和51年7月30日,9.30am〜12.00pm)で開かれたシンポジウムの記録である。ここに論じられた物質以外にも,多くの物質が中枢神経の伝達物質の候補とされているが,わが国で現在,この領域のオリジナルな研究を進めている研究者のうちから,事情の許す4人の方に発表をお願いしたのであつた。したがつて,4編の各論文は総説よりはむしろ原著論文に近いのである。このような論文は,総括的な総説よりもさらに豊富な滋養を後進の研究者に与えるものであろう。各論文は,シンポジウムののちに当日の討論をもふまえて新らたに執筆されたものである。
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