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特集 分泌腺
総説
顎下腺の比較組織学—多様性の由来
Morphological diversity of submandibular gland
養老 孟司
1
Takeshi Yohro
1
1東京大学医学部解剖学教室
pp.105-113
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903110
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外分泌腺の構造は古くから組織学者が好んで調べてきた主題の一つである。そしてさまざまな種類の外分泌腺の示す構造上の共通性が注目されてきた。すでにClaude Bernardの時代に膵をglande salivaire abdominaleと呼ぶ表現があり1),教科書にも膵をBauchspeicheldrüseということがある21),と書かれていたりするのも,構造の共通性が古くから重視されてきたことを示す。
一方,顎下腺は種属間に構造のちがいがみられ,また同種の動物でも,性や年令による形態の差が認められる。これは顎下腺の構造の多様性—diversity—として,とくに腺の組織化学を調べた人達が強調してきたことである2〜8)。もちろんそれには耳下腺や舌下腺,さらに膵にはこのような多様さはないという(暗黙の?)前提がある。
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