Japanese
English
主題 発生,分化・4
骨の発生
Osteogenesis: A Concept in Quest of Mechanisms
山形 達也
1
,
金子 正幸
2
,
岩田 久
2
Tatsuya Yamagata
1
,
Masayuki Kaneko
2
,
Hisashi Iwata
2
1名古屋大学理学部化学教室
2名古屋大学医学部整形外科学教室
1Department of Chemistry, Nagoya University
2Department of Orthopaedic Surgery, Nagoya University
pp.142-157
発行日 1969年8月15日
Published Date 1969/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902810
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「骨」と言えば,もうそれだけで読者の方々が,私たちが何について語ろうとするかを理解されるほど,なじみの深い組織の一つである。しかし,なじみ深い組織にしては,この骨のでき方,つまり骨の発生はわからないことが多い。受精卵が卵割をくりかえして,やがて個体になる間の変化を取り扱う「発生学」は,ただ記載だけしていて,本質的には細胞の分化の要因をあきらかにしていないのではないかという批判は,この揚合にもあてはまる。つまり,骨の発生の刻々の変化は,実に綿密に記載されているのだが,「何故そうなるか」という問いには答えていないのである。
私たちの大半は正常な骨をもつているが,異常な骨(骨形成不全,骨腫瘍とか)の出現する割合も決して少なくないのである。このような場合の真の原因を明らかにし,治療に成功するには,正常な骨組織の発生の研究が単に記載に終つていては駄目なのであつて「何故そうなるのか」と骨組織の因果関係を明らかにする態度が必要であろう。
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