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特集 研究室で役に立つ新しい試薬
糖関連化学物質(試薬)
糖鎖分解酵素(グリコシダーゼ)
エンドグリコセラミダーゼ
Endoglycoceramidase
山形 達也
1
,
伊東 信
1
Tatsuya Yamagata
1
,
Makoto Ito
1
1三菱化成生命科学研究所複合糖質研究室
pp.512-513
発行日 1989年8月15日
Published Date 1989/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905375
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エンドグリコセラミダーゼ(EGCase)はRohdococcussp.の培地から単離されたエンド型酵素で,スフィンゴ糖脂質に作用し,オリゴ糖とセラミドを同時に完全な形で生成する1)。スフィンゴ糖脂質は両親媒性であり,疎水性のセラミドを細胞表面の脂質二重膜の中に埋め込み,親水性の糖鎖を細胞膜から外に突き出していると考えられている。セラミドを構成するスフィンゴシン塩基と脂肪酸に構造上の変異がある他,糖鎖構造にも様々な種類があり,糖鎖構造で区別しても,200を超える異なる分子があるという。これらの糖脂質は細胞表面にあって,ウイルスや毒素のレセプターとなる他,細胞周期,細胞分化,癌化により種類も量も変化するし,外から加えた糖脂質が細胞分化を惹き起こす場合も知られてきて,細胞にとって重要な生物情報を担う分子と考えられるようになった。しかし,今まで,このスフィンゴ糖脂質から定量的にオリゴ糖とセラミドを得る方法がなかったことを考えると,このEGCaseの貢献は大きなものだと言える。
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