主題 Polysaccharide・1
「ポリサッカライド」について
山川 民夫
1
Tamio Yamakawa
1
1東京大学医学部生化学教室
1Department of Biochemistry, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.2-4
発行日 1968年2月15日
Published Date 1968/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902757
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生体の科学の編集委員会は,ポリサッカライド(多糖)で企画をまとめるよう要請されたが,その意図する所はグリコゲンや澱粉のような一種類の単糖のポリマーであるいわゆるホモポリサッカライドでなく,多種の糖より構成されているへテロポリサッカライドや,むしろそれが蛋白や脂質を結合している多糖複合体というべきものの化学,生化学,生体における意義についての特集を希望しているらしい。これこそ‘glycosubstances’あるいはムコ物質といわれるもので,われわれのように少し人間に甘い所のある者だちが好んで取り扱っている領域である。
ムコ多糖(mucopolysaccharide)という言葉が以前から使われている。ムコ(muco,英米人はミューコと発音する)とは何かというと,古く病理学者が呼んだ粘膜(mucous membrane)の分泌物(mucin)に由来するもので粘性の高い物質を指すようであるが,1945年Ad vances in Carbohydrate Chemistryの中で,K, Meyerが‘muco’というのを‘hexosamineをもつ’という定義にしようと提案した。
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