Japanese
English
主題 微小循環
毛細血管の透過性
On the permeability of the blood capillary
森 堅志
1
Katashi Mori
1
1名古屋市立大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Medical School, Nagoya City University
pp.214-223
発行日 1966年10月15日
Published Date 1966/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902695
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毛細血管の透過性については医学の各分野からすでに幾度となく論ぜられていて,この雑誌の3号にも高木健太郎教授28)が生理学的立場からまた山元寅男教授29)が形態学的立場から述べておられる。
われわれ形態学の立場から最も問題になることは,物質が毛細血管壁を通過する時,内皮細胞内を通過するかあるいは内皮細胞間を通過するかという点にある。電子顕微鏡所見による研究以前は,生理学解剖学ともに物質の主な通路は内皮細胞間である事にほとんど一致していた。しかるに電子顕微鏡による形態学的所見から内皮細胞間通過はほとんど否定され,もつぱら物質は内皮細胞内をvesiclesまたはvacuolesによつて運ばれて通過するといういわゆるpinocytosisによる説が支配的になつている。また物質の毛細血管の透過について一般に生理学で教えるところによれば,物質の透過は毛細血管のみによつて行なわれ,この際,動脈性毛細管から物質が組織へ出て組織からは静脈性毛細管へ物質が吸収されるといわれている。われわれが多年行なつてきた実験や生体観察の結果によれば,ことに以上の二点に関し異なる成績を得ているのでまずそれについて記述し,次に透過性についての形態学的根拠の今までの変遷とわれわれの見解について若干述べて見たい。
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