特集 加齢の克服―21世紀の課題
第1部 座談会
Ⅰ.アルツハイマー病/Ⅱ.健康老化/Ⅲ.高齢化社会に臨んで
伊藤 正男
1
,
岩坪 威
2
,
北 徹
3
,
佐藤 昭夫
4
,
田平 武
5
,
永井 克孝
6
,
野々村 禎昭
7
,
藤田 道也
8
1理化学研究所脳科学総合研究センター
2東京大学大学院薬学系研究科
3京都大学大学院医学研究科
4人間総合科学大学人間科学部
5国立療養所中部病院長寿医療研究センター
6三菱化学生命科学研究所
7微生物化学研究会
8浜松医科大学
pp.351-375
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902422
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伊藤(司会) 『生体の科学』誌では毎年1回倍大特集号を組むのですが,今年は加齢の問題を取り上げました。今回はいつもと違い,座談会と総説を組み合わせたスタイルにしました。論文にするにはまだ早いが,将来を見通してよく議論しておかなければいけないことを今日この座談会で大いに論じていただきたいと思います。
テーマを三つに分けました。第一に,加齢とともに発症率が指数関数的に増え,社会的な関心も大きいアルツハイマー病は,分子生物学やゲノム科学の手法を駆使して今世界中で攻め立てていますが,その研究が果たしてどこまで進歩し,今後どうなるだろうかという問題です。第二に,そういう加齢にともなって起こる病気の問題が克服されると次に社会の関心の中心になるのは自然老化,健康老化の問題です。高齢化社会ではむしろこちらの方が大事になるでしょう。これは,いろんな成因を含んでいて,骨粗鬆症や糖尿病まで入れれば裾野がひどく広い領域で,まだなかなか系統的な研究が進んでいません。第三には,現在すでに高齢化社会が到来して,いろいろな医学的,社会的な問題が発生してきますが,それにどう臨んだらいいのかという問題です。
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