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特集 細胞極性の形成機序
出芽酵母における細胞極性形成の分子機構
Molecular mechanism of development of cell polarity in the yeast Saccharomyces cerevisiae
田中 一馬
1
Kazuma Tanaka
1
1北海道大学医学部附属癌研究施設生化学部門
pp.91-95
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902098
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細胞は一般に不均一な構造を有しており,これは細胞の極性と呼ばれている。細胞の極性は個々の細胞において多様ではあるが,その細胞の機能の発現に重要な役割を果たす。細胞の極性形成の基本は,ある一群の蛋白質なり物質なりを細胞内のある特定の部位へ輸送し,集積することにある。図1に細胞極性の形成過程を単純化して示している。この過程では,まず細胞膜上に位置のシグナルが形成されると,それに向かってアクチン線維や微小管などの細胞骨格系が形成され,位置のシグナルの方向にモーター蛋白質などの働きにより輸送小胞などの物質が輸送される。出芽酵母のような単純な真核細胞にもこのような過程は存在し,出芽と呼ばれる細胞極性の形成過程を支えている。現在,この出芽過程を遺伝学的に解析することにより極性形成の基本形が明らかにされつつある。出芽酵母の出芽は,大きく,出芽位置の決定,その位置での出芽の開始,細胞膜や細胞壁の成長からなる芽の形成過程,に分けることができる。それぞれについてこれまでに明らかにされていることを述べてみたい。
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