特集 病気の分子細胞生物学
10.膠原病
慢性関節リウマチ
田中 良哉
1
Yoshiya Tanaka
1
1産業医科大学医学部第一内科
pp.477-478
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901770
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[疾患概略]
慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)は関節滑膜を病変の主座とし,全身の支持組織を多発性に侵す原因不明の慢性非化膿性炎症性疾患である。本邦では,約70万人がRAに罹患しているとされ,最も頻度の高い全身性自己免疫疾患,膠原病である。RAの基本的病態は滑膜炎症の展開であり,滑膜組織内のT細胞の集積,血管新生,滑膜細胞の増殖に代表され,滑膜細胞の異常な増殖と滑膜細胞や集積した炎症性細胞が産生する種々のサイトカインや蛋白分解酵素は,炎症性肉芽の肥大,ひいては軟骨や骨基質の変性・吸収による関節破壊と日常生活動作の制限を引き起こす。また,種々の炎症性サイトカインや細胞接着分子は滑膜炎症病態の形成において重要な役割を担い,例えば,細胞接着やサイトカインを介する刺激によって産生されたサイトカインは,ほかのサイトカインの産生や接着分子の発現や接着性を誘導し,T細胞の滑膜組織内への遊出やリンパ球と滑膜細胞との細胞接着をもたらす1)。
RAの原因はほかの自己免疫疾患と同様,自己に対する免疫学的寛容状態の破綻に基づく自己反応性T細胞の存在と,それによって活性化されたB細胞から産生される自己抗体によるものとされる。
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