特集 病気の分子細胞生物学
1.筋・神経・精神疾患
アドレノロイコジストロフィー
山田 猛
1
Takeshi Yamada
1
1九州大学医学部附属脳神経病研究施設神経内科
pp.375-376
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901730
- 有料閲覧
- 文献概要
[疾患概略]
アドレノロイコジストロフィー(adrenoleukodystrophy;ALD)には,伴性遺伝型(X-linked ALD)と新生児型があるが,本稿では前者について述べる。伴性劣性遺伝をし,発生頻度は出生男子2万~10万人に1人とされる。中枢神経と末梢神経の髄鞘が進行性に破壊される脱髄疾患であり,副腎皮質の萎縮を伴う1,2)。多様な臨床病型があり,小児期発症で重篤な経過をとる小児大脳型と,成人発症で痙性対麻痺を呈するadrenomyeloneuropathy(AMN)が多い。思春期あるいは成人発症の大脳型がまれにみられる。アジソン病のみを呈するもの,生化学的異常のみの無症候例も存在する。
小児大脳型は3~10歳頃に学業成績の低下,情緒不安定,異常行動などで発症し,痴呆,聴力障害,視力障害,運動失調,けいれんなどをきたす。1~10年で植物状態となり,発症から5~10年で死亡する。検査異常も含めると90%以上に副腎不全がみられる。AMNは思春期から成人期に下肢の痙性対麻痺による歩行障害で発症し,5~15年で杖歩行,車椅子生活となる。成人大脳型は精神分裂病様の精神症状で発症,急速に進行し,3~4年で死亡する。
Copyright © 1999, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.