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特集 時間生物学の新たな展開
視交叉上核ニューロンにおけるサーカディアンリズム―リズム発現と時計遺伝子
Circadian Rhythm in the Suprachiasmatic Neurons: Rhythm Generation and Clock Genes
本間 さと
1
Sato Honma
1
1北海道大学医学部統合生理学講座
pp.169-174
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901689
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I.時計遺伝子とリズム異常
シアノバクテリアからヒトに至るすべての生物は,その行動や生理機能に内因性の生物時計に駆動された約24時間周期のサーカディアンリズムをもつ。生物時計の分子レベルでの研究は,2年前まではショウジョウバエやアカパンカビなどごく一部の生物に限られていた1,2)。しかし,1997年に哺乳類で初めて時計遺伝子がクローニングされてから3),哺乳動物の時計機構研究は急速な発展を遂げた。時計遺伝子とは,その変異がサーカディアンリズムの周期や位相に異常をきたす遺伝子群一般をさす。これらの中には時計細胞内でサーカディアン振動発現に関わる遺伝子のほかに,リズム同調の入力系,出力系に関わる遺伝子群,また,多数の振動体をもつ個体ではリズムカップリングに関わる遺伝子群も含まれる。なお,本稿の中で遺伝子名につけたd,m,r,hはそれぞれショウジョウバエ,マウス,ラット,ヒトの省略である。
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