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I.視交叉上核研究の推移
生物リズムは,環境の変化によっても消失することなく確固として存在し,外界からの作用は行動という現象を変えることはできるが,体内時計を止めることはできない。このことからRiehter(1967)は,時計機構が体内のある器官に局在すると考え,多くの内分泌器官を摘出したり,脳のさまざまな部位を破壊したりした。その結果,腹側視床下部の破壊で活動性の概日リズムが消失することを見出している。
サーカディアンリズムは外界の明暗サイクルに同調することから,光を受容する網膜からサーカディアンペースメーカーに至る神経回路が存在することが想定され,ペースメーカーの探索に新たな道が拓かれた。Mooreらは,従来報告されていた視覚路に加え,網膜視床下部路(retinohypothalamic tract;RHT)を同定し,それが視交叉上核(SCN)に終わることを見出した。さらに彼らは,ラットのSCN破壊を行なうと,副腎皮質ホルモンの血中濃度のサーカディアンリズムが消失することを報告した(Moore & Eichler,1972)。彼らとは独立に,StephanとZueker(1972)もSCNの破壊によって,輪回し運動,飲水のサーカディアンリズムがみられなくなることを報告し,SCNが有力なサーカディアンペースメーカーとして同定された。
The suprachiasrnatic nucleus (SON) of the hypothalamus has been firmly established as a site of the circadian pacemaker in mammals. Accumulated evidence includes elimination of circadian rhythms by the SCN lesion persistence of rhythmicity in SCN electrical activities both in vivo hypothalamic island and in vitro slice and restoration of rhythmicity by the SON graft in once arrythmic host animals.
Some neurochemical backgrounds are reviewed in relevance to the ability of the SCN to generate endogenous circadian rhythms.
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