Japanese
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特集 リソソーム:最近の研究
真核生物に共通のカテプシンA関連酵素
Cathepsin A and Related Enzymes in Eukaryote
林 力丸
1
,
松崎 英樹
1
,
植野 洋志
1
Rikimaru Hayashi
1
,
Hideki Matsuzaki
1
,
Hiroshi Ueno
1
1京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻
pp.135-139
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901683
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カテプシンAは,Frutonらが自ら合成したベンジルオキシカルボニル(Z)-Glu-Tyrを酸性で加水分解する細胞内プロテアーゼとして,50年前にウシ脾臓から部分精製された1)。当時は,ペプシン類似のエンドペプチダーゼと考えられていたが,その後ブタ腎臓やラット肝臓の酵素などが部分精製され2-6),カテプシンAはむしろリソソームに存在するカルボキシペプチダーゼではないかといわれるようになった。これには同様の性質を示す酵素が植物や酵母の液胞にも存在することが明らかにされ,液胞はすなわち植物や酵母リソソーム7)ともいうべきものであることが明らかにされてきた経緯が背景にある。カテプシンAの研究は非常に古いわりに明確な概念が得られぬままに,植物や酵母由来の酵素に関する研究が先導する形をとってきた。
一方,ごく最近ヒトの保護タンパク質(protective protein)の発現異常が糖代謝に異常をきたす常染色体劣性遺伝病(ガラクトシアリドーシス)と呼ばれる病態が報告された8)。保護タンパク質は二つの糖代謝酵素(リソソーム性β-ガラクトシダーゼとノイラミニダーゼ)と複合体を形成することにより保護機能を示す9)。この保護タンパク質の遺伝的欠損によりβ-ガラクトシダーゼは不安定化し,ノイラミニダーゼは不活性化する。
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