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特集 リソソーム:最近の研究
リソソームの組織化学的研究
Histochemical Study of Lysosome
馬場 健
1
,
大野 伸一
1
Takeshi Baba
1
,
Shinichi Ohno
1
1山梨医科大学第一解剖学教室
pp.78-84
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901676
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リソソームは1層の限界膜に囲まれた細胞小器官で,種々の高分子物質の分解を行っている。そのためリソソームは多くの加水分解酵素を含んでいる。これらの酵素は酸性域で働くため,リソソームの内腔のpHは約5となるように調節されている。リソソームは電顕的に電子密度の高い小胞として見出された1)。代表的なリソソーム酵素である酸性ホスファターゼが,リソソームの組織化学的同定によく用いられている2)。この酵素は抗体を用いた免疫細胞化学的マーカーとしても用いられている3)。また,リソソームはエンドサイトーシスされた物質の最終到達部位であることより,リソソーム内酵素で分解を受けにくい物質が蓄積する小器官としても同定することができる。その中でも,HRP(horse radish peroxidase)はDAB(3,3′-diaminobenzidine)反応により,不溶性の凝集構造を形成し,形態学的のみならず生化学的マーカーとして広く用いられている。最近では,Stoorvogelら4)によるDABクロスリンクを応用したユニークな研究法が注目を集めている。さらに,ここ10年ほどの間に,リソソームを含む小胞輸送系の研究が飛躍的に発展し,数多くのリソソーム特異的な蛋白質の同定,あるいはcDNAクローニングが行われ,リソソームの細胞内での形態に関する知見が数多く蓄積されてきた。
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