誌上ディベート
術後アロマターゼ阻害薬は5年か,5年以上か 「5年以上とすべき」とする立場から
酒井 瞳
1
1近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門助教
pp.43-46
発行日 2018年8月20日
Published Date 2018/8/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.04.02_0043-0046
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術後5年を過ぎても乳癌の再発は少なくない。いわゆる晩期再発と呼ばれる状況で,乳癌診療に携わっている読者の大半は,思い当たる経験があるのではないか。乳癌術後内分泌療法を5年で終了した後の再発リスクに関するメタ解析(88試験,62,923人のデータ)1)によると,5年の術後内分泌療法開始後5-20年の試験期間を通して,乳癌再発は一定の割合で発生した。遠隔転移再発のリスクは最初のTN分類に相関し,内分泌療法開始後5-20年の期間で,T1の患者では,リンパ節転移がない場合(T1N0)13%,リンパ節転移が1-3個の場合(T1N1-3)20%,4-9個の場合(T1N4-9)34%であり,T2の患者では,T2N0で19%,T2N1-3で26%,T2N4-9で41%であった。乳癌による死亡リスクもTN分類に相関した。また,tumor gradeとKi-67 indexは遠隔転移再発の中等度の予測因子であった。腫瘍径が大きい症例やリンパ節転移を有する症例では晩期再発のリスクがあるため,標準的治療期間と延長を比較する複数の臨床試験が進行している。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。・論点整理/南博信・「5年とすべき」とする立場から/岩瀬まどか/岩田広治・「5年以上とすべき」とする立場から/酒井瞳/鶴谷純司
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