話題
「花房照子博士追悼シンポジウム」印象記―癌遺伝子Srcの興亡
松田 道行
1
Michiyuki Matsuda
1
1国立国際医療センター研究所臨床病理部
pp.75
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901547
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昨年5月7日に,一昨年(平成8年)1月にお亡くなりになったロックフェラー大学の花房照子博士を追悼して,癌遺伝子と情報伝達に関するシンポジウムが行われた。花房照子博士は夫君の文化功労者花房秀三郎博士とともに,30年以上もRous肉腫ウイルスの発癌機構の解明に尽くしてこられた。両先生の仕事が癌遺伝子の概念の確立とSrc癌遺伝子の発見に大きく貢献したことは有名である。
ロックフェラー大学は,野口英世の昔から今に至るまで医学研究のメッカであり続けている。そのロックフェラー大学構内の半球状の建物でひときわ目につくCaspary Hallでシンポジウムは行われた。演者は,長年のライバルで今やNIH総長を務めるノーベル賞受賞者Harold VarmusをはじめPeterVogt,Steve Martin,Joan Brugge,Ray EriksonといったSrc癌遺伝子研究の隆盛を築いてきた人々,Mount Sinai病院の癌研究所を率いるStuart Aaronson,RasやRBの発見で高名なRobert Weinbergら錚々たる面々である。このほかに,私を含む数名の花房研OBも話をする機会を与えられた。
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