特集 受容体1997
Ⅲ.酵素活性内蔵型受容体
3.ナトリウム利尿ペプチド受容体
ナトリウム利尿ペプチド受容体
広瀬 茂久
1
Shigehisa Hirose
1
1東京工業大学生命理工学部生体機構学科
pp.513-516
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901263
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電子顕微鏡観察によって心房に分泌顆粒らしい構造体が認められていたが,この顆粒に含まれる物質の正体が明らかになり,その由来と生理作用にちなんで心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide;ANP)と命名されたのは1973年であり,心臓は単なるポンプではなく内分泌器官でもあることが明らかになった1)。その後の研究で,ANPの同族分子として心臓や脳からBNPとCNPが発見され,これらを総称してナトリウム利尿ペプチドと呼ぶようになった。4種の受容体が知られているが,それらは形と働きから二つのグループに分けられている2)。一つは細胞内領域が長く,そこにグアニル酸シクラーゼ活性を有する酵素活性内在型で,もう一つの型は細胞内領域が短い。受容体の表記法としては種々提案されたが,現在はnatriuretic peptide receptorの頭文字をとってNPRと略記し,サブタイプはNPR-A,NPR-B,NPR-C,NPR-Dのように記すのが一般的となっている。受容体の際だった特徴は,ジスルフィド結合によって二量体ないしは四量体構造をとっていることである。いずれのサブタイプもサブユニット当たりの膜貫通領域は1ヵ所のみである。一次構造上は,細胞外領域にNPRモチーフと呼ばれるよく保存された配列を有する。
[ファミリー]膜1回貫通型およびグアニル酸シクラーゼ
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