Japanese
English
特集 マトリックス生物学の最前線
テネイシンファミリー分子の構造と機能
Structures and functions of tenascin family molecules
吉田 利通
1
,
坂倉 照妤
1
Toshimichi Yoshida
1
,
Teruyo Sakakura
1
1三重大学医学部病理学教室
pp.273-279
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901204
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形態形成および創傷治癒過程,癌の発生・進展などの種々の組織再構築過程では,増殖した細胞群がその集塊の形を変え,すでにある構築を変化させ時には移動して,固有の組織構築を形成する。そのためには,すでにあった組織構築では,細胞―細胞間接着と細胞―基質間接着の解離が必要であり,このうち細胞―基質間の接着は,細胞内からの接着斑などの調節,細胞外マトリックス(ECM)蛋白の蛋白分解酵素による破壊,そしてECMの量,種類を変化させることによって制御されている。細胞の脱着(detachment),細胞―基質間接着の解離,という観点が近年注目を集めてきており,ECM蛋白による接着制御として,テネイシン(TN)の発見とその分子機能の解析は,積極的な抗接着性の概念の確立に寄与してきている。また,最近ファミリー分子が相次いで発見され,TNファミリーの関与する現象はますます増えていくであろう1,2)。
本稿では,現在知られているTNファミリー分子を紹介し,よく研究されているTN-Cを中心に,in vitroでの分子機能と生体での発現,機能について概説する。
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