Japanese
English
特集 開口分泌のメカニズムにおける新しい展開
刺激―分泌連関
Stimulus-secretion coupling
小澤 輝高
1
,
福士 靖江
1
,
丸山 芳夫
1
Terutaka Ozawa
1
,
Yasue Hukushi
1
,
Yoshio Maruyama
1
1東北大学医学部第一生理学教室
pp.185-189
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901191
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I.刺激―分泌連関と小胞体
開口放出に関わる調節系の一般論を刺激―分泌連関という。1960年代ダグラスにより提唱されたこの概念1)は大筋で正しく,現在,融合という力学現象を統べる情報伝達システムの総体と理解されている。分泌細胞の最終機能が開口放出であるからには,そこに至るあらゆるステップは,ステップごとの時間の長短,またその生起する細胞内局所空間の大小も含め,開口放出(分泌顆粒の細胞膜への融合)へと収束してくるはずである(図1)。刺激―分泌連関は,異なった細胞内コンパートメント各々の時間的・空間的特性を考慮に入れた上で構築されなければならない。膵腺腺房細胞を例とすれば(調節性分泌の典型として),分泌蛋白が小胞体において生成され,小胞輸送経路に乗ってゴルジ装置を通過し,チモーゲン顆粒に蓄えられるまでに約120分を要する2)。一方,アゴニスト投与からカルシウム(Ca)性反応が惹起されるまでには数秒3),また,イノシトール三リン酸(IP3)依存性Ca波が細胞をくまなく覆うにも数秒を要するにすぎない4)。このCa波に同期して,開口放出の1周期が終了する5)。核情報から小胞体での出芽,ゴルジ網様体でのソーティング,微小管の関わり合い,開口放出の分子論,エンドサイトーシスの開始と小胞のリサイクリングなど,個々の構造的また機能的コンパートメントを結びつける因子としてこうしたCa波を理解する必要がある6,7)。
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