Japanese
English
特集 開口分泌のメカニズムにおける新しい展開
分泌顆粒の細胞内輸送と微小管系
Involvement of microtubules in intracellular transport of secretory granules
千田 隆夫
1
Takao Senda
1
1名古屋大学医学部解剖学第一講座
pp.179-184
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901190
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
分泌タンパクの種類や内分泌・外分泌の違いに関係なく,すべてのタンパク分泌細胞には分泌されるべきタンパクを含んだ分泌顆粒が存在する。分泌顆粒は,ゴルジ装置の最トランス側の層板あるいはトランスゴルジネットワークと呼ばれる特殊な膜系の一部が出芽し,その中に濃縮された分泌タンパクを含んだままちぎれてできたものである。本特集の別の稿で詳しく述べられているように,分泌タンパクはゴルジ装置から分泌顆粒に移行する際に,明確に仕分け(ソーティング)される。できたばかりの幼若な分泌顆粒は電子顕微鏡で見ると不整形を呈していることが多く,その中に含まれる分泌タンパクもまだ化学的修飾(プロセッシング)を受ける余地を残している。成熟した分泌顆粒は多くの場合,円形ないしは卵円形であるが,細胞によっては特徴的な形状の分泌顆粒を持つものがある。成熟分泌顆粒の限界膜は明瞭かつ平滑であり,その内容物は濃縮されて一般に電子密度が高い。
分泌顆粒は,例えていうなら分泌タンパクという商品を運ぶためのコンテナであり,それを最終目的地である細胞膜へ運ぶためには何らかの手段が必要である。その最も有力な候補が微小管である。本稿では分泌機能に対する微小管の関与についての研究を概観するとともに,最近の知見を筆者らの研究を中心に紹介したい。
Copyright © 1997, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.