Japanese
English
特集 開口分泌のメカニズムにおける新しい展開
分泌顆粒形成の機序と超微細形態学
Mechanism and ultrastructure of secretory granule formation
小澤 一史
1
,
河田 光博
1
Hitoshi Ozawa
1
,
Mitsuhiro Kawata
1
1京都府立医科大学第一解剖学教室
pp.170-178
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901189
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分泌顆粒の形成に関する本題に入る前に,“分泌現象”という概念から話を進めてみたいと思う。分泌(secretion)という現象は,各種の細胞において普遍的に行われている生命現象で,細胞内においてなんらかの物質を産生する働きを意味するものである。細胞の中で産生された物質は,なんらかの方法で細胞の外へ放出される。細胞の中である物質が合成されて,細胞の外へ放出されるまでの全過程を“分泌”と称している。より具体的にこの過程を概略すると,「細胞が分泌物質の原料を取り入れ」,「それをもとに分泌物を合成し」,「さらに生物活性を持たせるために必要に応じて修飾し,これを濃縮して」,「必要ならば細胞内に貯蔵して」,「なんらかの仕組みで細胞外へ放出する」ということになる。従って,分泌物が細胞外へ放出されるまでの間には多くの過程とそれに関わるさまざまな因子が関与することが考えられ,これらを広く理解することにより,はじめて個々の事象を理解することができるわけである。
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