Japanese
English
特集 中間径フィラメント
サイトケラチンと表皮細胞
Cytokeratins and keratinocytes
北島 康雄
1
Yasuo Kitajima
1
1自治医科大学皮膚科
pp.447-453
発行日 1986年10月15日
Published Date 1986/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905419
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表皮細胞における中間径線維は,生化学的にケラチン線維タンパクと呼ばれる中性緩衝液に不溶性の,分子量40,000(以下は×103をKとする)から70Kまでの一群のタンパクから成る。このタンパクはケラチン(keratin),α-ケラチン,ケラチン線維タンパク(keratinfilament protein),プレケラチン(prekeratin)あるいはサイトケラチン(cytokeratin)といくつかの名称で呼ばれている。毛のケラチンがα-ヘリクスであるというPaulingとCorey(1953)1)のX線回折から得られた分子モデルは有名であるが,表皮細胞ケラチンの歴史は,Rudall(1952)2)がウシ表皮から6M尿素溶液を用いてα-ヘリクスを有する線維性タンパクを抽出し,エピデルミン(epidermin)と名付けたことに始まった。後にこれは,表皮ホモジェネートを中性緩衝液(リン酸緩衝生理的食塩水など)で洗浄遠沈した沈渣からクエン酸緩衝液pH 2.65で抽出され,中性緩衝液に対する透析によって線維を形成する線維性タンパクであるプレケラチン3)と,またその残渣から8M尿素で抽出され,これもまた中性緩衝液に対して透析することによって10nmの太さの線維を形成する線維タンパクであるケラチン(α-ケラチン)4,5)と本質的に同一物質であることが示された。
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