特集 器官―その新しい視点
9.皮膚
皮膚:汗腺
小坂 光男
1
,
嶋津 宗典
1
Mitsuo Kosaka
1
,
Munenori Shimazu
1
1長崎大学熱帯医学研究所環境医学部門
pp.500-504
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901141
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ポイント 汗腺支配神経と神経伝達物質の連関
発汗研究の創始者(1963年文化功労賞・文化勲章受章者)久野寧(1882-1977)に関し,下記の事実がある。1972年2月,京都大医学部・井上章(生理学教授),京都府立医大・吉村寿人(生理学教授),熊本大体質医研・緒方維弘(生理学教授),同体質医研・佐々木隆(同助教授)らの6ページからなる推薦書(久野寧教授による発汗学研究の貢献)が,井上章先生を介してスウェーデンのノーベル賞選考委員会の委員長Ulf. Svantevon Euler(1905-1983)教授の元に送り届けられた。しかるに,久野章先生の生存中,残念ながら朗報は届いていない。今日までのところその理由について,体温調節生理学者の間での詮議は,久野先生の発汗学研究全般1)については優逸であるが,1)発汗の中枢機序と2)発汗の末梢機序におけるa)汗腺支配神経とb)神経伝達物質の連関の2点についてさらにデータ不足だった,と指摘されている(佐々木隆・熊本大学名誉教授・談,1994年10月)。本稿においては,上述2)のa)とb)についての最近の知見を紹介し,検討を加えてみたい。
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