Japanese
English
特集 病態を変えたよく効く医薬
臓器移植補助剤:免疫抑制剤(FK506)―作用機序
Cellular functional point of immunosuppressant “Tacrolimus”
小林 正和
1
Masakazu Kobayashi
1
1藤沢薬品工業㈱開発第一研究所
pp.704-707
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901041
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
タクロリムス(開発番号FK506,商品名プログラフ)は前稿で解説されているように,殺細胞作用がなく,リンパ球の増殖抑制活性を持つ化合物として見いだされ,臓器移植時の拒絶反応の抑制を目的として,また自己免疫性疾患の治療を目的として開発されてきた。現在,日・米・英で肝臓移植での使用が承認されている他に,日本では骨髄移植時の移植片対宿主病(GVHD),および英国での腎臓移植時の拒絶反応の治療的使用が承認されている。他の臓器移植への適応拡大,関節性リューマチ(RA),ベーチェット病,アトピー性皮膚炎,乾癬などへの適応拡大を目的として臨床試験が行われている。
これらのタクロリムスの有用性の基となる免疫抑制作用は,in vitroリンパ球混合反応(MLR)でシクロスポリン(CsA)の10~100倍の強さを持つことで証明されているが1,2),本稿では,タクロリムスの免疫抑制および臨床上での副作用につながる,これまで明らかにされた細胞内シグナルを解説し,読者の参考としたい。
Copyright © 1995, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.