私のくふう
セルロゲルの乾燥補助剤
松崎 正明
1
1市立函館病院中検
pp.602
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909391
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脂質関係の検査は増加の一途をたどっている中で,リポタンパク分画は血清保存が難しく,経時変化した検体ではPre-β値が測定不能になることもあって,ルーチン化には未解決の問題が多い.測定法としてはセルロゲルを支持体としたオゾン化Schiff反応が最も普及している方法と思われるが,泳動後5%トリクロール酢酸液で固定した膜を,スライドグラスに貼って乾燥してからオゾン化するわけであるが,乾燥が不完全であればオゾン化されず,かといって完全に乾燥すれば膜は歪み,染色液になじまないという,実にやっかいな代物である.それでこの行程をスムーズに進めるために,セルロゲルをスライドグラスに貼り付けるペースト液を考案した.処方は次のとおりで,室温で長期保存に耐える.
これをスポイトでスライドグラスの上に2〜3滴滴下し,泳動,固定してメタノール液である程度脱水したセルロゲルを貼り,ドライヤーで乾燥させてオゾン化する.このように処理した膜は完全に乾燥しても歪むことはない.染色の前処理として,膜を0.001N塩酸に浸してスライドグラスから離し,湿潤させる場合に一気に液に入れるとムラができて失敗することがある,Brig−35は完全に乾燥した膜に親水性をもたせる効果があって,オゾン化した標本を病理で用いる立形のバットに入れて,スライドグラスの裏面から静かに液を注げば10枚の標本は1分足らずで均一に水分を吸収させることが可能である.
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