トピックス
FK506
内田 久則
1
,
冨川 伸二
1
,
別宮 好文
1
1東京大学医科学研究所外科・移植科
pp.77-80
発行日 1995年1月1日
Published Date 1995/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902229
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はじめに
Prograf®(一般名takrorismus,開発名FK506)は,藤沢薬品の研究室において1984年に放線菌Streptomyces tukubaensisの代謝産物より単離された分子量822のマクロライド系抗生物質で,構造式は図1に示したごとくである.FK506は移植免疫応答において重要な役割を果たしているヘルパーT細胞のインターロイキン-2(IL-2)産生を抑制し,その抑制効果を発揮するのに必要な濃度は,同じ強力な免疫抑制剤シクロスポリンの1/100という微量であり,また,ヒトリンパ球混合培養反応を抑制し,リンパ球混合培養においてT細胞のIL-2レセプターの発現を抑制することが明らかになった1).以上の結果を念頭に置き,Ochiaiらがラット同種心移植においてFK506の短期投与を行ったところ移植心が永久生着となることを見いだし2),その後FK506の各種臓器移植における生着延長効果についての実験的検討が世界的規模で実施され,特にアメリカのPittsburgh大学において早期に肝移植臨床に応用された3).1994年8月の京都における第15回国際移植学会では,ヨーロッパおよびアメリカの肝移植に対する多施設間でのFK506の治療成績,ならびに日本における腎移植に対する多施設間の治療成績がシクロスポリンとの対比で報告された.このようなFK506の現在における臨床的評価を含め,作用機序,副作用などにつき概説を行う.
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