特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ
5.カエル
嘔吐行動
内藤 富夫
1
1島根大学理学部生物学教室
pp.536-537
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900824
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目標
カエルは吐剤による刺激1-3)や食道開口部の機械的刺激1,2)で容易に嘔吐する。この嘔吐のメカニズムは基本的には哺乳類の場合と同じである1,2)。したがって,比較生理学的観点から,カエルの嘔吐行動を基にして脊椎動物における嘔吐メカニズムの解析を哺乳類と同様の立場で行うことができる。ある特定の物質や刺激が嘔吐をもたらすか否か,あるいは制吐作用があるか否かをカエルを用いて調べることができる。これは,刺激受容から嘔吐行動発現までの間に介在する神経回路とその活動調節,あるいは神経回路に含まれるレセプターレベルの解析を可能にする。カエルの嘔吐能は変態期に獲得される1)。変態期における嘔吐およびそれに関連する機能・行動の発達を調べることは,それらを調節する中枢神経系の発達過程を理解する研究につながってくる。
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