発行日 1953年4月15日
Published Date 1953/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907274
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嘔吐現象は多數の滑平筋及び横紋筋の共同運動によつて起るものであつて,其の主要な機序は深い吸息後聲門が閉鎖され,次いで横隔膜及び腹筋が収縮して腹壓が高まり胃が壓せられ,同時に幽門が閉鎖して,噴門が開口し,逆蠕動がおこり,胃内容が食道を經て口腔より外界に押し出されるのであり,嘔吐中枢は延髄にあります。以上の様な機序により嘔吐が起りますが,これが如何なる病氣によつて起るかと言うと色々の疾患がありその鑑別に苦しみます。これを本態的にわけると,刺戟が直接に嘔吐中枢に作用しておこる中樞性嘔吐(例えば腦壓亢進して)と,刺戟が間接に求心性經路を經て反射的に中枢に作用した場合即ち反射性嘔吐にわけられます。この反射性嘔吐は舌根や咽頭及び胃粘膜の知覺神經が刺戟された場合,或は視嗅聽神經の刺戟(例えば汚い物を見たり惡臭のあるものをかいだりして起る嘔吐等もこのうちに入ります)等によつて起ります。以上の様に中枢性のものと反射急のものとにわけられますが私達が臨床の第一線に立つてよく見られる疾患をひろつて見ますと,
1胃腸疾患胃カタル,胃癌,イレゥス,胃擴張,虫垂炎等
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