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特集 造血の機構
バフィロマイシンによるM1細胞のマクロファージへの分化誘導
Induction of phagocytic activity of M1 cells by bafilomycin A1
木下 邦則
1
,
大熊 勝治
1
Kuninori Kinoshita
1
,
Shoji Ohkuma
1
1金沢大学薬学部生化学教室
pp.356-359
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900755
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マクロファージはMetchnikoffが食細胞として記載して以来,単なる生体防御担当細胞としてのみならず,分泌作用,抗原提示作用,ウイルス感染,主要細胞の識別など,生体の恒常性を維持するためのさまざまな生理調節機能を担っていることが明らかとなってきている。このマクロファージは骨髄の幹細胞から単芽球,前単球,単球・マクロファージと増殖・分化の結果生じる。骨髄の幹細胞は,ただひとつの細胞からマクロファージの他,赤血球,多形核白血球など異なる機能をもつ血液系細胞が分化してくることから,分化の研究のなかでもとくに注目されてきたが,近年急速に発展し,血液系以外のフィールドからも注目されている。
そうしたなか,造血幹細胞の増殖分化調節機能にも多種多彩なサイトカインが関与していることが明らかになってきている。そのシグナル伝達は,サイトカイン(リガンド)とそのレセプターとの結合によってスイッチオンの状態になるが,リガンド-レセプター結合体は,エンドサイトーシスによってエンドソーム・リソソームへと輸送され,ダウンレギュレーション(スイッチオフ)を引き起こすと考えられている。すなわち,リガンド-受容体の結合は,ほとんどの場合エンドソーム(時にはリソソーム)の酸性pH環境で誘起され解離(スイッチオフ)し,解離したリガンドはリソソームへ運ばれて分解されると考えられている。
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